現役大学職員さのMIX's CAFE

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イノベーション人材育成のカギ!DD(ダブル・ディグリー)を背景から分かりやすく解説

こんにちは、さのMIXです。

 

DD(ダブル・ディグリー)について、

用語の意味から背景・課題、意見を持つべきポイントまで解説します。

 

 

1_DD(ダブル・ディグリー)とは

”Double Degree”の略です。

「我が国と外国の大学が、教育課程の実施や単位互換等について協議し、双方の大学がそれぞれ学位を授与するプログラム」と文部科学省は定義しています。

文部科学省/平成22年/『我が国の大学と外国の大学間におけるダブル・ディグリー等、組織的・継続的な教育連携関係の構築に関するガイドライン』)

 

簡単に言うと、

大学生の4年間のうちに、日本の大学と海外の大学の両方の学位を取得できる

という制度です。

 

これまで、4年間で日本の大学の学位しか取得できなかったのが、

同じ4年間で海外の大学の学位も取得できるようになってきているのです!

なかなか画期的じゃないですか?

 

2_ダブル・ディグリーがホットな背景・理由

なぜ、文部科学省はダブル・ディグリーを推進しようとしているのでしょうか?

 

その理由は、文部科学省の『我が国の大学と外国の大学間におけるダブル・ディグリー等、組織的・継続的な教育連携関係の構築に関するガイドライン』(平成22年)に書かれてあります。

ですが、

「世界的なグローバル化の進展を背景に,高等教育においても,世界規模で国境を
越えた学生や教員の流動化をはじめとする高等教育全般の国際化が…」

などと長文のためここで超シンプルにして伝えますね^^

 

理由は、

①日本の優秀な学生を海外でパワーUPさせる!

②海外の優秀な留学生をGETする!

この2つです。

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ここからは筆者の主観ですが…

先進国に求められているのはイノベーションです。

「将来、仕事のほとんどがAIに取って代わられる!」とよく言われますが、新しい発見をする、つまりイノベーションを起こすことは人間にしかできません。アメリカが強いのは、たくさんのイノベーションを起こして、世界の最先端を走っているからなんですよね。

 

そこで、ダブル・ディグリーで、

優秀な日本人学生さんが海外の研究に触れて、視野が広がること。

海外の優秀な留学生を受け入れて日本の研究に新たな風を吹き込むこと。

を期待しているわけです。

 

3_ダブル・ディグリーを実施している大学の例をもとに解説

では、ダブル・ディグリーとは具体的にどのようなものなのでしょうか?

 

慶応義塾大学の

ボッコーニ大学とのダブルディグリー・プログラム」

を例に見てみましょう。

 

3_1_どうすれば海外の学位も取得できるのか

大学3年生か4年生のときに1年間、ボッコーニ(イタリア・ミラノ)に留学すればOKです。

かなり分かりやすいですね!

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出典:ボッコーニ大学(イタリア・ミラノ)とのダブルディグリー・プログラム - 留学 - 経済学部 - 慶應義塾大学経済学部・大学院経済学研究科

 

3_2_海外滞在中の費用は出るのか

海外の大学に授業料などを支払う必要はありません!

ただ、生活費は自腹です。当たり前っちゃ当たり前ですが。

多くの家庭では厳しいでしょう。汗

学費:留学中は、慶應義塾大学に支払い、ボッコーニ大学へ学費を払う必要はありません。
生活費の目安:1ヵ月に約15万円(住居€500~900、食費€200~250 ほか計€900~1350)。
また、イタリア滞在中に有効な留学健康保険に必ず加入します(約170,000円/年)。

出典:ボッコーニ大学(イタリア・ミラノ)とのダブルディグリー・プログラム - 留学 - 経済学部 - 慶應義塾大学経済学部・大学院経済学研究科

 

 

4_ダブル・ディグリーの課題

ここまで、どうでしょうか。

 

「ダブル・ディグリーすげぇ!バンバン推進していくべきっす!」

と思うかもしれませんが、実は課題も山積みでして…。

 

文部科学省のサイトでは下記が課題として挙げられています。

-各国政府がジョイント・ディグリーについてデータを十分に有していない
-連携プログラムの結果としての修了証と、国家としての認定が必ずしもつながらないケースが存在する
-法的な問題や規制の存在により、ジョイント・ディグリーを修得しても、国家が認める学位は一つしか得られない場合が多い
-学位記において複数機関の名称を付することが法的に困難な国が多い
-学位取得に当たり少なくとも半分以上の単位を当該機関で取得するよう求める規制を設ける国が多い

出典:資料5 ダブル・ディグリーに関する参考資料:文部科学省

 

また小難しいですね。

上記は興味があれば御覧いただくとして、

筆者が思う現実的な2つの課題を挙げますね。

1つめは、"学生の負担の重さ"です。慶応義塾大学の例で見た通り、「食費は自腹」のところが多いです。海外で1年間、自腹で生活し続けるためには家庭にそれなりの収入が必要です。また、大学3年生のときに留学するとなると、就活タイミングとまるかぶりすることになります。

2つめは、"海外の大学との調整"です。例えば、海外の大学のカリキュラムが「3年間スパン」で構成されている場合、途中で日本の学生が1年間や2年間留学しても、中途半端になりますよね。こういった不都合をなくすには、日本の大学と海外の提携大学との長期に渡る交渉・調整が必要となり、その負担の高さがダブル・ディグリー制度の整備が遅れる大きな原因となっていると考えられます。

 

5_意見を持つべきポイント

ダブル・ディグリーについての説明は以上です。

どのような感想をもちましたか?

 

推進すればよいことは明白なので、意見を持つべきポイントは、

・どの観点で改善すればダブル・ディグリーを推進できるか

だと思います。

 

やはり学生への支援や海外の大学との調整で解決するしかない!

いやいや、そもそも、ネットが発達した現代、海外に行かずにオンラインコース上で講義を受ければ解決なのではないか!?

などなど。

 

もし大学職員への転職活動中でしたら、

今すぐ「(受験する大学名) ダブル・ディグリー」で検索しましょう!

そして、そのダブル・ディグリー制度が伸び悩む理由を考えてみましょう。

 

きっと、その大学への理解が深まるはずです^^