授業内容の定着率が従来の10倍以上!AL(アクティブ・ラーニング)とは
こんにちは、さのMIXです。
今回は、AL(アクティブ・ラーニング)について紹介します。
アクティブ・ラーニングについては、これまで教育イベントに参加したり、研究会に参加したりとお伝えできることが多そうなので、目次アリで少し長めの記事にしました。
日本の教育を変えるかもしれない重要な用語・動きですので、
大学職員を目指すかたはぜひお付き合いいただければ嬉しいです。
- 1_ALとは
- 2_『アクティブ・ラーニング』は学習指導要領改訂の大きな新要素!
- 3_『アクティブ・ラーニング』を授業のイメージ図で説明
- 4_『アクティブ・ラーニング』で授業内容の定着率が10倍以上に!
- 5_アクティブ・ラーニングに対する批判
- 6_おわりに
1_ALとは
“Active Learning”の略です。
参加者を中心とした能動的な学習のことです。
実際はALと略すことは少なく、
普通にアクティブ・ラーニングと呼ぶことが多いです。
2_『アクティブ・ラーニング』は学習指導要領改訂の大きな新要素!
まず知っていただきたいことは、
「アクティブ・ラーニングは次の学習指導要領改訂の大きな新要素となっている」
ということです。つまり、国が「アクティブ・ラーニング」という学習形態を真剣に取り入れようとしているのです。
最終的には「主体的・対話的で深い学び」という言葉が使われましたが、学習指導要領改定案の際は「アクティブ・ラーニング」という言葉が使われていました。
大きく変わることの少ない学習指導要領に「アクティブ・ラーニング」のようなポッと出の用語(実際は海外ではポッと出ではないのですが笑)が使われるということは、それだけ文部科学省が本気で日本の教育を
「参加者を中心とした能動的な学習」
に変えようとしているということです。
3_『アクティブ・ラーニング』を授業のイメージ図で説明
では、一体『アクティブ・ラーニング』とはどのような授業のことなのでしょうか?
諸説ありますが、ここではシンプルに紹介します。
これまで授業って基本的には「一斉講義形式」でしたよね。
先生が教壇に立ち、生徒は当てられたとき以外は黙って授業を聞くスタイルです。
これに対して、『アクティブ・ラーニング』は、
生徒が主体とした授業形態となるため、一斉講義形式とは真逆です。
極端な言い方ですが、
「理解した生徒から先生となって、分からない生徒に教えるミニ先生となる」
ぐらいにイメージしておけばOKです。
(実際、理解した生徒がミニ先生になって教える授業形態で成功している学校もあります)
4_『アクティブ・ラーニング』で授業内容の定着率が10倍以上に!
『アクティブ・ラーニング』により、授業内容の定着率が10倍以上になるとも言われています。
「ラーニングピラミッド」をご存知でしょうか。下記の図です。
受動的な「講義」「視聴覚」より、
能動的な「グループ討論」「人に教える」の方が、
ものごとの平均定着率が高い。
という理論です。
これには「エビデンスが不十分だ」という声が実はあるのですが、
あなたの経験上、いかがでしょうか?
「講義を聞く」より「人に教える」ほうが、より積極的に学ぶ意欲がわきますよね。
5_アクティブ・ラーニングに対する批判
このようにメリットが多く見えるアクティブ・ラーニングですが、批判やリスクを指摘する声も多くあります。ここでは主に2つ紹介しましょう。
1つ目の批判は、「知識があいまいな生徒が教えて混乱を招かないか」という声です。
たしかに、知識があいまいなままの生徒どうしで教え合うと、間違った理解で覚えてしまうリスクがありますね。ただ、この批判に対して2点疑問があります。
まず、「実は、専門家(=先生)の話はわかりにくくかつ質問しにくいのでは」という疑問です。専門家の話ってわかりにくくないですか?専門家とは、先生のことです。もちろん、工夫を重ねて授業の質が高い先生もたくさんいらっしゃいます。ただ、「先生の話は分かりにくいし、すぐに質問しにくい」という実態もあるのではないかと思います。友達であれば、小さな疑問でも聞きやすいですもんね。
次に、「それを招かないことが先生の仕事ではないか」という疑問です。仕事というものは、目的に応じて日々、内容ややり方を変えるものです。授業を一方的に教えることがこれからの日本で求められる教育方法ではないのであれば、先生の仕事内容も変えるのが自然ではないでしょうか。学校の先生は「教える人(ティーチャー)」から、「学びを支援する人(ファシリテーター)」へと変わることが新しい仕事内容となるのかと思います。
2つめの批判は、「先生の役割がなくなるのでは?」という声です。これまで長い間続けてきた授業形式を変えることは、とても不安なことでしょう。「私がこれまで積み重ねてきたノウハウが使えないのでは…」と悲しい気持ちになり、「私の役割がなくなってしまうのでは」と危機感を覚えるのも当然だと思います。しかし、1つめの批判の話の中で述べたように、今後は「ファシリテーターとして活躍する」という重要な役割があります。そもそも、大切なのは子供が伸びることであって、先生の役割を省けるのであればそれに越したことはないです。ただでさえ先生は保護者対応や行事の企画・準備などで忙しいのですから。
他にも批判はあげられます。もしかしたらそれらの批判は正しいのかもしれません。
ただ、何事も新しいことを始めると批判がつきものです。
リスクにしっかりと耳を傾けながら、しかし日本の子供たちが将来活躍できるために『アクティブ・ラーニング』の良い面を取り入れ、
日本が良い方向に向かうといいですね!
6_おわりに
いかがでしたでしょうか。
あなたは、アクティブ・ラーニングに対してどう思いますか?
アクティブ・ラーニングは教育改革真っただ中の今、超重要なキーワードですので、自分の意見を持っておくと今後の大学の見え方も変わってくると思います。
子供の頃、私は「授業ってなぜこんなに眠くなるんだろう…」とずっと思っていました。
その理由は、「受動的だから」に尽きるのではないかと、『アクティブ・ラーニング』を学んで思いました。
「受動的」な授業をどう変えれば、眠くなくて楽しい授業になるのでしょうか。
改革は動き出しています。
あと数年後、日本の授業の風景は今では想像もできない形になっている。
…かもしれません。